第425章

「ほんの小手調べさ」相手は軽やかに笑い、喉の奥からごつごつとした音を漏らす。それはまるで、悪鬼がしわがれ声で咆哮しているかのようだった。

「解毒剤は俺の手にある。一人で来い。さもなくば……結果はわかっているな」

唐突に電話が切断され、無機質な電子音だけが残る。

前田南は全身が凍りつくような悪寒を覚えた。これは自分を狙った罠だということは明白だった。

だが、ククのためには選択の余地などない。

化粧室から出ると、望月琛が待ち構えていた。「一体どうした? さっきのメールを受け取ってから、様子がおかしいぞ」

南は心身ともに疲れ果てていた。彼女は力なく手を振り、そっけなく答える。「何でもな...

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